ペインクリニックとは
〇 腰部,仙骨部硬膜外ブロック・神経ブロック・星状神経節ブロックなどの注射
〇 オピオイドの内服・パッチ(貼り薬)
上記を用いて、脊髄・脳への痛みの伝達を遮断し、 痛みの緩和を目指します。
痛みが慢性化・長期化する理由
痛みが起こると血管の収縮や筋肉の緊張を起こします。その結果、血行が悪くなり、栄養や酸素が行き渡らなくなります。
痛みを起こす発痛物質が発症し、痛みがエスカレートするという悪循環が起こります。
こうして、痛みが慢性化すると痛みの引き起こした原因がなくなっても、痛みを取り去ることがなかなかできなくなります。
さらに、痛みが続くことで、痛みにばかり注意が向きがちになり、眠れなくなったり、不安や恐怖からうつ状態につながり、ますます痛みにとらわれて症状が重くなるという悪循環に陥ることもあります。
痛みが長く続いたり、様々なストレスにさらされていると、本来、私たちが脳の中に持っている「痛みを抑える神経(下行性疼痛抑制系)」の力が弱くなり、痛みを普通より強く感じたり、痛みが慢性化することがわかっています。
慢性疼痛
原因がなくなっているにもかかわらず痛みが消えないのは,身体の損傷を検知して脳に伝える痛覚回路そのものに異常が起き,誤作動していることが原因です。神経線維が物理的に接触した場合、触覚や温度の情報が痛みに変換されてしまったり,痛みを感じる脳神経が異常に敏感になり,ほんの些細な刺激で発火してしまったりする過敏状態になります。
神経ブロックが効く理由
神経ブロックは、痛みの伝達を一旦断ち切ることで痛みを和らげ、 血管を拡張させて血行を改善し、筋肉の緊張を和らげ、痛みの悪循環を断ち切る治療方法です。痛みは慢性化する前に、神経ブロックなどの適切な治療を行なって、早期に原因を取り除くことが大切です。
対象になる主な痛み
痛みが起こる部位と病気や症状についてご紹介します。
頚部(首)・肩・上肢の痛み、しびれ、冷感など
原因となっている病気:頚椎椎間板ヘルニア、変形性頸椎症、頚椎症、胸郭出口症候群、むち打ち、四十肩・五十肩、肩こり
頚椎椎間板ヘルニア
骨と骨の間でクッションの役目を果たす椎間板が加齢によりつぶれ、神経や組織を圧迫して痛みを起こします。首や腕の痛み、しびれ、肩こりなどの症状があります。
変形性頸椎症
老化によって骨が変形し、神経や周囲の組織を刺激して炎症や循環障害を起こして痛みが生じます。
四十肩・五十肩
肩関節周囲炎です。肩関節をおおっている膜が厚くなって炎症を起こし、そこにカルシウムの沈着や腱の断裂が起こり、痛みにつながります。
むち打ち症
主に後方からの急激な追突の衝撃が反動を起こして、頸椎を損傷しています。首や腕の痛み、しびれ、吐き気、前頭部の痛み、眼のかすみ、耳鳴りなど幅広い症状が現れ、日を追うごとに悪化するケースもよくあります。
腰・足や膝の痛み、しびれ、冷感
原因となっている病気:腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、脊柱管狭窄症、腰椎分離・すべり症、股関節炎、変形性膝関節症、坐骨神経痛、下肢血流障害
腰痛
腰を捻る、重いものを持ち上げる、腰を急に伸ばすなど、日常生活動作の繰り返しが主な原因です。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、腰部の椎骨と椎骨の間でクッションの役割を果たしている軟骨(椎間板)が変性し、組織の一部(髄核)が飛びだすことをいいます。それが、神経を圧迫し、腰や下肢の痛みにつながります。
変形性膝関節症
膝の痛みのほとんどを占める原因であり、高齢者に起こりやすい病気です。年齢と共に軟骨がすり減り、骨がトゲ状に変形することで痛みが起こります。
神経ブロック注射について
神経ブロック注射治療は、医学的論拠に基づいた保険適用の治療法です。痛みの原因となる部位に直接、局所麻酔薬を注射することで、神経の伝達を遮断して痛みを起こす悪循環を解消する治療であり、人間の持つ自然治癒力を高め、効率のよい痛み改善が期待できます。
今まで何をしても思うように治らなかった痛みでお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。
神経ブロック注射メニュー
痛みの内容や症状、場所、範囲、病気などによりさまざまなブロック注射があり、患者様の状態に適したものを行っていきます。
腰痛、坐骨神経痛など
- 仙骨硬膜外ブロック
- 坐骨神経ブロック
- 外側大腿皮神経ブロック
- 仙腸関節ブロック
- 椎間関節ブロック
- トリガーポイント注射
首・肩など
- 腕神経叢ブロック
- 肩甲上神経ブロック
- 肩甲背神経ブロック
- 後頭神経ブロック
- 星状神経節ブロック
- 肩関節内注射・肩峰下滑液包注射
- トリガーポイント注射
体の痛みや症状別の神経ブロック治療
首・肩・腕の痛み
特に有効なのは、頸椎椎間板ヘルニア、四十肩・五十肩、肩こり、肩板断裂、頸椎脊柱管狭窄症状、むち打ちなどです。
「トリガーポイント注射」「硬膜外神経ブロック」から適切なものを選択します。四十肩・五十肩には、肩関節へのヒアルロン酸注入の追加も有効です。肩関節の炎症制による肩の潤滑促進、肩の可動性向上がヒアルロン酸注入で期待できます。
腰・下肢(膝)の痛み
ぎっくり腰、変形性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、腰椎脊柱管狭窄症、腰椎椎間関節症、腰椎圧迫骨折、筋筋膜性腰痛、変形性股関節症、変形性膝関節症などです。
腰や下肢は神経ブロックの対象疾患がとても多く、「腰部硬膜外神経ブロック」「仙骨硬膜外神経ブロック」「トリガーポイント注射」「外側大腿皮神経ブロック」などから適切な治療を行います。
変形性膝関節症では「ヒアルロン酸注入」を行うケースがあります。